インバーは、鉄・ニッケル・マンガン・炭素が含まれた合金です。主に、熱の影響を避けたい、時計や測定器・半導体露光装置などの精密機器に使用されています。
インバーは、熱膨張性が非常に低い金属で、膨張係数は鉄やニッケルのおよそ1/10と低い点が特徴です。
電気伝導性やハンダ適正・弾性・溶接への対応など、金属の長所を備えている点も大きな特徴と言えます。
タングステンやタンタル・イリジウムなどに比べ安価な点も、インバーの特徴の一つと言えるでしょう。
一般的な金属は、加熱・冷却により膨張→収縮と変化しますが、インバーは熱による変化がほぼ起きないため、膨張が起きないと同時に、熱導電率が低くなる点も特徴の一つです。熱伝導率が低い状態で加工を行うと、後述のように、熱が材料にこもってひずみを生じさせるため、切削加工が難しくなります。
一方、インバーよりもさらに低い熱膨張率を必要とする場合は、熱膨張数が鉄の約100分の1以下となる「スーパーインバー」を使用します。
スーパーインバーは、金属素材の低膨張性という点でインバーをさらに進化させた三元合金です。三元すなわち鉄(63.5%)・ニッケル(31.5%)・コバルト(5%)の3種を基本に構成され、微量元素としてマンガンと炭素も含まれています。
特徴は、鉄の約100分の1以下とされるほど、熱膨張率が極めて小さいことです。熱による影響をほとんど受けないため、温度による形状変化も少なく、寸法公差が厳しい製品をつくる場合や使用環境による装置のブレを抑制したい場合など、様々な用途に重宝します。例えば、精密機器や光学機器、計測機器、半導体製造装置など、わずかな寸法誤差も許されない緻密さが求められる製品分野においては、スーパーインバーの優れた特性が遺憾なく発揮されるでしょう。金属の含有量を調整すれば、性質を少し変化させることも可能です。注意点として、湿度には弱いため環境によってはサビが発生して腐食が進んでいきます。
また、スーパーインバーはコストパフォーマンスも良好です。低膨張金属はスーパーインバー以外にタンタル・タングステン・イリジウムなどもあります。ただ、いずれも値段が高くコストと性能のつり合いがとりにくいのが何店です。スーパーインバーはバランスが良く、コストパフォーマンスに優れているため、低膨張金属が求められる分野において現実的な解決が図りやすい素材といえるでしょう。
42アロイは鉄57%にニッケルを42%含んだ合金で、微量の銅やマンガンが添加されることもあります。金属の中では常温付近での熱膨張率が低く、硬質ガラスやセラミックスに近いという特徴が。そのためガラス封止される電子部品の電極材料に使用されたり、ICリードフレームに使用されたりしています。
封着作業においては硼珪酸ガラスが使用されます。高周波や電気炉などによって1,000~1,200℃の温度で封着。この際、還元炎による加熱は行ってはいけません。また過剰焼鈍してしまうと、結晶粒が粗大化してしまいメッキ作業のトラブルの原因となるので注意が必要です。
コバールは鉄:約54%、ニッケル:約29%、コバルト:約17%を主成分とした合金。熱伝導率が悪い・塑性変形による加工硬化が起きやすい・切粉が工具に溶着しやすいという理由によって、工具や切り刃の刃先が細かく欠ける現象や加工精度の減少などを引き起こしやすいです。
難削材として知られていますが、熱膨張率が低いという特徴があることから電子部品関連やトランジスタ関連部品などで不可欠な材料として重宝されています。
高い低熱膨張性を誇るインバー(スーパーインバー)は、熱の影響を排除したい各種製品、とりわけ性能要件が厳しく高い精度が求められる分野の用途に多く使用されています。
具体的には、時計、測定器、測量機器、半導体製造装置・露光装置、光学機器、測定機器、工作機器等の部品、地震活動検出器、航空宇宙産業など多岐にわたっています。いずれの製品も、温度環境が厳しく制御されなければならない分野です。
他方、インバーの優れた特性(低熱膨張性)を引き出すためには、インバーの性質に合わせて適切な加工技術を加える必要があります。それでは次に、インバーの加工の難しさと対策について見ていきましょう。
熱伝導率が低く、高性能なインバーですが、切削加工や研削加工をおこなった際に、局所的に熱がこもることで、熱によるひずみが生じやすいと言われています。
また、材質に粘りがあることから、工具摩耗が速い物質とも言われ、これらのことからインバーは難削材の部類に入ります。
難削材とされるインバーですが、熱膨張率の高さは評価されており、温度環境の厳しい半導体関連部品の基礎部分や発電機器などにも使用されています。
また、精密加工機器を使用することで、微細加工も可能となります。
インバーと同様に、スーパーインバーも加工性の良くない難削材です。ポイントに挙げられるのは、「工具の親和性」と「熱伝導性の低さ」。スーパーインバーは切り屑と工具との親和性が高いため、切削時に切り屑が工具に付着しやすく、仕上げ面が悪化する原因になります。また、熱伝導性が低いため加工中の熱がこもりやすく、この熱の影響で工具が消耗しやすいことも加工性を悪くする要因です。結果、時間や費用・労力といったコストが大きくなります。
・材質:スーパーインバー
・高さ:0.5mm
・幅:0.15mm
・凸形状間の溝幅:0.15mm
・穴径寸法:φ0.05mm
・備考:凸形状の破損を防ぐため、刃物の振れを極限まで抑えて加工。穴口の微細なバリも除去し、貫通させています。
・サイズ:50×15×t15
・材質:スーパーインバー
・加工:精密加工
・精度:表面度 0.005、直角度 0.005
・備考:難削材のインバーですが、このように高精度の微細加工を実現することが可能です。
微細加工会社を選ぶ際の大前提となるのが、「ISO9001認証を取得しているかどうか」と「工作設備が充実しているかどうか」です。
ISO9001認証は、厳しい審査基準をクリアした工場や会社だけに与えられる認証なので、これがあるだけでその会社は優れた技術力を持っているという証拠になります。また、工作設備の充実については、微細加工にはそれ専用の設備や機会が必要なので、設備が豊富な会社は、単純に対応できる加工の種類も多くなるのです。
精度優先の会社は、特殊な工作設備や検査機器によって、加工が難しい依頼にも対応できます。しかし、高精度な加工依頼にも対応できる反面、短納期での製造が難しい傾向にあります。
納期優先の会社は、充実した工作設備によって単品から大口ロットの製造に一気に対応でき、結果として短納期での製造を可能とします。しかし、短納期で対応できる反面、常に高精度なものを製造できない場合もありますので、注意が必要です。
あなたの会社は精度を重視しますか?それとも納期ですか?このメディアでは精度に強みを持つ会社と納期に強みを持つ企業の中からそれぞれおすすめの企業を1社ずつピックアップしました。
微細加工に対応する会社には大きく「精度」と「納期」を重視する企業に分かれます。自社の目的を明確にし、目的に合った企業選びをするようにしましょう。
いくら高精度の加工機器で加工したとしても、検査測定器で正確に検査して問題ないと判断されてはじめて高品質な製品の納品が可能となります。
検査測定器の種類が豊富ということは、より多くの検査項目を網羅することができ、より高精度の検査を行うことができます。ここでは高精度な加工で評判の微細加工会社を紹介します。
できるだけ早く部品を納品して欲しいという依頼人の希望をかなえるため、自社一貫の生産体制を整えていたり、加工工程の削減や、人的工程の効率化を実現することで、スピード納期を実現している企業があります。ここでは短納期で評判の微細加工会社を紹介します。